Bonjour !
前回からの続きで、アンサンブルアンフランセ立ち上げヒストリー秘話をご紹介いたします。
初回を読んでいない方は是非そちらをご覧になってから、この記事に進んでくださいね。
5、フランス語を勉強せずに渡仏!
さて、前回は日本の英会話学校で思いもよらぬ苦労をいろいろ経験しつつも、何とかある程度の英語を身に着けることに成功したところまでお話ししましたが、実はその後、私にとんでもない大変化が起こりました。 そのとんでもない大変化とは……種々の事情により、私がフランスへ行くことが決まったのです!
「フランスへ行く」というと旅行へ行くみたいですが、違います。生活の拠点を代える、いわば移住です。ということはもちろん、今度はフランス語を勉強しなければなりません。 しかしフランス語は、学校で多少なりとも習った英語とは違う、完全に未知の世界。英語以上に苦労するであろうことは、想像に難くありません。
新たな相手に並々ならぬ手強さを感じた私は、英語を一番効率よく勉強できた奥の手である「Skypeを使ったオンライン学校」を今度も使おうと、オンライン学校を探しました。しかしそこでひとつの事実に直面し、衝撃を受けたのです。何せ当時はオンラインのフランス語学校というものが、ほぼ存在していなかったのですから!
”えっ?言語が違うとこんなにも様子が変わるの?フランス語なんてめちゃくちゃメジャーな言語じゃない!”しかし考えてみると、当時の私の周りには、旅行でフランスへ行ったという人は沢山いましたが、フランス語を勉強しているという人は全くいません。英語に比べると、学習者は相当に少ないようです。
さてどうしよう?とりあえず自力で何とかならないかと参考書を買ったものの……
動詞の活用?女性名詞? ええ〜っ、フランス語って暗号ですか!?!?
紙上の勉強ではとても歯が立ちそうではないという事に気付いた私は、聞くだけで話せるという教材やネット等々、ありとあらゆる教材を試しましたが、全て最初の数ページでもう挫折です。
こんな難しい言語、独学で上達できるはずない!
そうなると、やはり「誰かに教えてもらう」道を取るしかありません。それではということで、近所の英会話学校にフランス語レッスンもあったので調べてみましたが……
お値段は入会金4万円の、1レッスン7,000円(税別) セレブ向けですか!?ちょっとお高いですよね(汗)。
こんなに難しそうな言語を1回7,000円も払って受講したところで、日本に居続ける限り、100万円以上払っても効率良く上達できないことは容易に想像できます。 オンライン学校はない。独学もダメ。通いの学校も無理っぽい。 ”それなら思い切って、フランスに行ってしまおう!” といった感じで、全く勉強せずにフランスへ旅立ったのです。
※なお個人で家庭教師を探すという選択肢は、絶対にありませんでした(「第1回」を読んだ方はお分かりのように、これ以上のトラブルはご免でしたので)。
6、Parisの語学学校
この語学学校時代は、毎日の何もかもが楽しくない、もう思い出すのも恐ろしい暗黒の日々でした(苦笑)
ご存知の方も多いと思いますが、フランスは観光目的なら英語でなんとかなりますが、いざ住むとなると、フランス語が絶対に必要となります!
フランス語が出来ないとメトロの切符も買えないし、買い物すらまともにできません。その他生活における、ありとあらゆる些細なこと全てに不自由します。
そんなフランスに、「Bonjour!」 と「Merci」しか知らない状態で渡ってしまった私は、パリの語学学校で、こともあろうに「オールフランス語」の授業を選択し、毎日3~4時間受講しました。(基本一部の例外を除き、現在もフランスのフランス語学校はオールフランス語で授業が行われます) そして最初の授業から、いきなりの衝撃を受けたのです。授業の進み方はすごく早く、毎回どんどん進んでいきます。そして先生も生徒も、使う言葉は全てフランス語。そして繰り返しになりますが、その時の私は「Bonjour!」 と「Merci」(と、あと少し)程度しか知りません。
そんな状況ですから、先生が何を話しているかなんて全く理解不能です。そこでやむを得ず辞書を引くと、担当の先生から……
「私の話している言葉をイメージしなさい、あなたは授業中にずっと辞書を引いているからイメージできない。だからあなたは上達しないのよ、これからは辞書を使用することを禁止します!!」
恐ろしい剣幕で怒られ、みんなの前で辞書を没収されてしまいました。
仕方がないので、言われた通りにイメージしようと努力をします。でもイメージをしようにも、先生の話す単語すべてが解らない……というか解るワケなどないので、何もできないのですよ。何もかも全てわからない!
本当に、本当に逃げ出したくなるような空間でした。
さて、そんな辛い日々の舞台であった私の通っていたクラスには、約10~20名(時期によって頻繁に人数が変わる)が在籍していました。
クラスメイトにはポルトガル語圏とスペイン語圏……要はフランス語との共通点が多い言語を母国語とする国々からやって来た人が多く、彼らの上達は目覚ましいものでした。
一方で、フランス語とは程遠い母国語を持つ国から来た、具体的にはアジア系の人は、私を含めてたったの3人。この3名は先ほどの私と似たり寄ったりの状況で……私以外の人達は、すぐに学校を辞めてしまいました。
「月謝は戻ってこなくてもいい、こんな惨めな思いをしてまでこの学校にいたくない」
そう話していた彼女たちの顔が、今でも忘れられません。
さて、頼みの綱(?)の落ちこぼれ仲間まで失い、クラスで一番落ちこぼれの出来の悪い生徒となってしまった私はといえば、毎日カフェや自宅で2~4時間の猛勉強して必死で授業について行こうとしましたが、どういうワケか、会話はほとんど出来るようになりませんでした。
そんな状況を見ていたフランス人の友人からは、「和美は接続法の難しい文法は知っているのに、会話は全くできない。その学校は大丈夫か?」「いつになったらフランス語話せるようになるの?(頭本当に悪いんだねというような表情で)」と心配される始末(しかも会話は英語)。
おまけに当時は2~3か月置きに日本とフランスを仕事で往復していたため、学校にはなかなか継続して通う事ができず、「難しい文法は知っているのに会話は出来ないまま」という悪循環の日々が続きました。
「通っている学校が悪いんじゃない?」と皆に言われて違う語学学校にも通ってみましたが、結局どこでも、行き着く先は同じでした。
今でも連絡を取り合う大事なクラスメイト カフェでの勉強は今でも良い思い出です
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